解約
2年ぐらい前のこと。
出先でお金が必要になって、近くにあったみずほ銀行のATMに飛び込んだ飼い主はん。
しかし飼い主はんのメインバンクはゆうちょ銀行であり、みずほ銀行は口座あるもののほとんど使ってないのであった。
だから暗証番号もうろ覚え。
なんとなくこれだったんじゃないかという第1候補の暗証番号があるので、入れてみる。
見事に不正解。
ああ、こっちだったかと第2候補を入れてみる。
しかし不正解。
やばい。暗証番号入れられる回数って制限あるんじゃなかったっけ。
ずーっと間違えまくってたら怪しいやつとして監視カメラにマークされるかもしれん。
この通帳、池田支店のものということは大阪に住んでたころに開いた口座。
つまり20年以上前に設定した暗証番号ということだ。
飼い主はんの思考パターンを20年前に戻して考えてみる。
……あのころの俺なら……ヤング飼い主なら……あの番号に違いない!ピポパポ!
やっぱり不正解。
シュルシュルっとキャッシュカードが戻ってきて、モニタに「もうこのカード使われへんで」という表示が。
ハハ、そんなバカなことあるまいと改めて挿入してみるが、有無を言わさず突き返された。
結局その日はゆうちょ銀行のATMを探し出してなんとか用を足した。
あれから2年。あれ以来、みずほ銀行の口座は手付かずのまま。
使えなくて不自由は一切ないけれど、まだ口座にお金残ってるし、そのままにしとくってのもなんか気持ち悪い。
というわけで銀行が仕事始めの今日、なんとかするためにみずほ銀行に行ってみた。
キャッシュカードの再発行と暗証番号の変更をするつもりなのだが、そのためには口座開く際に使った印鑑が必要。
しかし口座開いたの20年以上も前なので、今使ってる印鑑を使ったのかどうかまったく覚えてない。
もし印鑑が違う場合、まず印鑑を変更するという処理が必要になるのだそうだ。
非常に面倒くさい。ああ、暗証番号さえ覚えていればこんなことにならなかったのに。
とりあえずなんかいろいろ申請書渡されたので、言われるがままにほいほい書いて、窓口に提出してじっと待つ。
数分後に呼ばれて行ってみると、なんと印鑑は今使ってるものと同じだったらしい。よし、これなら手続きがかなり短縮できるぞ。
と思ってたら、思わぬ展開になった。
飼い主はんの持ってた通帳は、1つの通帳で普通口座と貯蓄口座というものの2つに対応しているやつなのだが、
普通口座だけで事足りるので、貯蓄の方は口座作った時からまったくの手付かずで放置していたのである。
そのせいで、俺の貯蓄口座は現在休眠口座扱いになっており、もう解約してしまって普通口座一本にした方がいいと言われたのだ。
へえ、ほなそうしまっさ。
よく分からんけど銀行員がそう言うのならそうした方がいいのだろうと思って答えたが、ちょ、待てよ。
普通口座の方も全然使ってないんだから、
だったらもうどっちも解約した方がよくね?
どっちも解約するのと、貯蓄口座解約&キャッシュカード新規発行&暗証番号変更。
これどっちの方が楽っすかね?
そう聞いてみると、「どっちも解約」の方だという。
いや、だったらどっちも解約でお願いします。
「わかりました、それでは解約阻止のためにこれから10人の屈強な男どもが出て参りますので、
全員倒した場合には普通口座も解約に応じましょう」
扉がバーンと開いてブッチャーみたいなのや安岡力也みたいなのや室伏広治みたいなのが次々と俺に襲いかかる。
しかし俺はアチョアチョと全員返り討ちにしてやった。
さあ、これで解約してもらうぜ。文句はないな?
あまりの悔しさに握り拳から血を流す行員を背に、俺は銀行をあとにした。
結局解約により34万円強返って来たので、西友でパンや卵買って豪遊してから残りの34万円弱をいつものゆうちょ銀行に入れた。
長年の懸念がスッキリした飼い主はんのお正月休みでした。