飼い主はんと背後霊君

~これは飼い主はんと背後霊君の青春群像ドラマなのである~

天国から地獄

朗報があります。

うちの工場が机やらロッカーやらの事業系粗大ゴミを引き取ってもらうことになったのですが、

なんと我々従業員の家にある粗大ゴミも一緒に出していいということになりました。

しかも市のゴミ回収に出せないゴミも持ってってくれるそうなんです。

 

「回収に出せないゴミ?それってもしかして……」

 

そうだよ!押入れの中に眠ってる……

 

「恥ずかしくてゴミ捨て場にすら出せないエロビデオっすね!」

 

ちゃうわ!恥ずかしくて出せないのにわざわざ職場まで持って来るってどんな羞恥プレイだよ!興奮するわ!

パソコンだよパソコン!パソコン引き取ってくれるんだってさ!

 

「マジか!パソコンって今はメーカーかどこかに送らないと捨てられないのに!」

 

2003年からパソコンリサイクル法というのが施行され、パソコン本体やモニタを非常に非常に捨てにくくなったのである。

なんか自分で梱包してどこかに送らなきゃいけないらしいのだが、

くっそバカでかいブラウン管モニタなんてどう梱包すりゃいいんだよと。

そんなわけで捨てられずにずーっと押し入れにしまっていたのだが、

それがお金かからずにしかも職場に持って行けば処分してくれるという。

こんなチャンス逃すわけに行かねえ!

てなわけで

 

 

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・デスクトップパソコン本体2台

・ノートパソコン2台

・くっそバカでかいブラウン管モニタ2台

・液晶モニタ1台

こいつをまとめて処分してもらうぜ!

 

「ちょ、待てよ」

 

どうしたんだいキムタク後霊君。

 

「確かにあんたの職場は徒歩で通える近さだけど、

 ブラウン管モニタ抱えて持って行くにはちょっと遠くね?

 しかもこれだけの量、一体何往復せなあかんねんと」

 

あはははははははははははははははははははははははは。誰が抱えて持って行くなんて言った?

 

こいつを使うのさ!

 

 

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カー!

 

「車と言え」

 

アパートからパソコン持って来たいから会社の車貸してと事務所に言ったら、あっさりOKしてもらえたのである。

こいつに積み込んで、1往復で全部運んじゃうぜ!

 

「ちなみにあんた、車の運転するの何年ぶりっすか?」

 

大阪から所沢にやってきてだいたい23、4年のはずだから、運転も23、4年ぶりかな?腕がなるぜ!

 

「なるほど、じゃ私は陰ながら応援してますので」

 

何言ってんの?アパートまでドライブしようよ乗りなさい。

 

「いえ、歩いて戻ります。謹んで遠慮いたします」

 

うるせえ!羽交い締めにしてやる!乗れ!

 

「いやああああ!やめてえええええ!死にたくないいいいい!」

 

てめえはすでに幽霊だろうが!車なんて5分も運転すれば勘取り戻すんだよ!

うわー運転席って久しぶりだなあ。キー回してエンジンかけてと。

あれ?この車サイドブレーキどこあるんだ?

足元にペダルはあるけどどこで解除するのかが分からない。ちゃんと聞いときゃよかった。

ああなるほどサイドかかってる時にペダル踏んだら解除されて、解除されてる時に踏んだらサイドかかるんだね。

さあ、ギアをドライブに入れて、ブレーキ離して、

ってうお!クリープ現象のこと忘れてたストップストップ!

クリープ現象ってこんな速かったっけ?21世紀だからかな?

一旦落ち着こう一旦落ち着こうすーはーすーはー。

改めてブレーキを離して……動いた!よしこのまま勢いで行くぞ!出発進行!!

 

「いやああああ地獄のドライブううううううう!!」

 

 

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「ど、どうした?」

 

こ、恐かった……。

 

「20年のブランクは伊達じゃなかったっすね……」

 

ただ単に職場とアパートを10分ぐらいで往復しただけなのだが、とにかく緊張した。

先頭で信号に止まった時はちゃんと青信号で発進できるかドキドキし、

後ろから車がやってきたら「なんで俺の後ろにつくねんふざけんな」と涙目。

交通量の少ない朝4時過ぎだったから良かったものの、もっと交通量の多い時間帯だったら、

もうパニックでブレーキとアクセル踏み間違えて前の車に突っ込んでたかもしれない。

23、4年前、俺は本当に車を運転していたのだろうか。

あのモンスターマシンをくわえタバコに片ハンドルで手足のごとく扱っていたなんて、とても信じられない。

別に事故起こしたわけでも起こしそうになったわけでもないのに、なんかとてつもない罪悪感が残った。

私みたいな底辺の人間が車の運転なんかしてしまって、本当にすみませんでした。

今後は世間様の迷惑にならないよう、陽の当たらない道の端を歩いてゆく所存でございます。

本当に本当に申し訳ありませんでした。