飼い主はんと背後霊君

~これは飼い主はんと背後霊君の青春群像ドラマなのである~

生還

昨日あれだけ寝たのに、夜も結構ぐっすり眠る。

夜中に二度トイレに目覚めたが、寝てる間にさらに治りが進んだようで、

起き上がるのはやや一苦労なものの、立ってしまえばもう普通に歩けるようになり、

歩行器のお世話にならずに用を足せた。

……これはもう退院できるのではなかろうか?

 

そういえば昨日飼い主はんは救急車で搬送されて来たわけで、

俺のカバンやダウンジャケットなんかは一緒に救急車に積んでくれたものの、

靴までは気が回らず、工場に置いたままなのだ。

仮に今日退院できたとしても靴あれへんがな。どうやって帰ったらええねん。

今日は祝日。工場に電話して誰かに持って来てもらおうにも、工場はお休み。

うわあこのままじゃ今日も帰られへんやんオーマイガッと沈んでいたら、ベッド横に見慣れぬレジ袋が。

寝る前はこんな物なかったはず。なんだこれと思って中を見てみると……

靴だ!俺の靴だ!

ワークマンで買った街で履いても一切違和感の無いかっこいい安全靴だ!

寝てる間に工場の人が持って来てくれたのに違いない。ありがたや。

これで退院する上での障壁は一切なくなったので、朝食後にナースコールで看護師さんを呼んだ。

退院させて下さい!!!!!

 

主治医さんがやって来て、俺が笑顔で立ち上がって歩いているのを確認し、

どうやらもう問題なさそうというお墨付きをもらえたので、晴れて退院できることに。

ただ、今日は祝日であるため退院の手続きが取れないらしく、外泊という形式を取って手続きは明日行わなければならないと。

どんな形でもいいです。一刻も早く俺を自由の身にしてください!!!

 

外泊許可書やら書いて、25時間ぶりに娑婆に戻ることができた。

今日が平日なら工場の人に車でお迎えに来てもらうこともできたのだが、あいにくの祝日で工場はお休み。

自力で家まで帰るしかないのだが、そもそも飼い主はんたらどこの病院に担ぎ込まれてたのかまったく分からない状態。

ここはどこ?私は誰?と迷いながらも、まずは車が走る大きな道を探して歩き出す。

バス通ってたらバス乗って帰れるけど、でかい道であってもバス路線じゃないなんて多々あるしなあ。

タクシーでも呼ぶかなあ。Pasmo使えるんかなあ。

と考えてたら、100mぐらい先に見える大きそうな道路をバスがブブーンと横切った。

まじか!バスあるやんけ!

急いでその道に出てみると、何度もバスで通ったことのある、俺も知ってる道だった。

俺こんな近場に入院してたのか。あんな裏道に総合病院があるとは知らなかった。

無事バス停までたどり着き、やって来たバスに乗り込む。

髪ボサボサ髭ボウボウのマスク姿の怪しい客ですが、バスジャックじゃありませんよ。ただの入院患者ですよ。

 

自宅近くのバス停で降り、28時間ぶりに我が家に生還。

まず最初に確認したのは、炊飯器。

昨日家出る時に昼食用にタイマーをセットしてあったのだが、こんなに保温してたらカリカリご飯になってるのではと恐る恐るフタ開けるが、

別に思ったほどカリカリにはなってなくて、実にほどよいご飯のままでした。それをお茶漬けでサラサラ流し込み、とりあえず明日までは寝て過ごすことにしよう。

 

今回の入院で得た教訓

1. 毎日毎日当たり前のように家に戻れると思うな!

2. 人に見られたらまずいエロDVDとか出しっぱなしにするな!

3. 倒れるなら近くに人がいるとこで倒れろ!

 

今読み返してみると語尾が「です」「ます」だったりぶっきらぼうだったりゴチャ混ぜになってますが、

書き直すの面倒なのでもうこのまま更新ボタンをクリックだ!